専門基礎科目が少しずつ増えて学科独自の教育プログラムが進む1年後期の時期に、本学科で学ぶ意義を再確認するために毎年学科オリエンテーションを行っています。本学科は医療技術や福祉技術の高度化に対応できる能力をもつ技術者の養成を目指しており、昨年は福祉機器展を見学しました。今年は医療機器に関連した学問を学ぶ意義を医療機器の歴史を通して考えることを目的として、見学会を実施しました。
実施日:平成30年10月29日(月)8時40分から19時
場 所:千葉県「印西市立印旛医科器械歴史資料館」
参加者:学生45名、教員5名
印西市立印旛医科器械歴史資料館HP:https://ikakikai-hozon.org/
見学会の様子
「成田山新勝寺見学」
成田山新勝寺を見学後、表参道で各自昼食をとりました。ここは成田空港にも近く、外国人観光客がたくさん見学に来ておりました。欧米の若い女性が着物を着て写真を写す姿などを目にし、本学科の1年生も伝統ある日本文化の良さを再認識したと思います。
「印西市立印旛医科器械歴史資料館見学」
日本の医療機器は宣教師が欧州から持ち込んだことに始まり、江戸時代の鎖国政策でも長崎の出島を通してオランダから輸入されました。前述の花岡青洲が使った外科器具のレプリカも展示されておりました。世界初の全身麻酔といっても手術される側になって考えると恐ろしく感じました。大正時代になり国産の器具が作られ始めましたが、輸入品に圧倒されていたようでした。日露戦争以降、野戦用の消毒器や手術台など日本らしい細かな工夫が凝らされました。第二次世界大戦後、本格的に国産の医療機器開発が七帝大医学部と中小の医療機器メーカを中心に強力に推し進められました。木製の脳波計や古い内視鏡など現在の大手医療機器メーカへつながる礎が展示されており、先人の苦労や努力を垣間見ました。学生諸君には当時の先端機器も今では古めかしいものに見えたに違いありません。彼らも3年生になると応用プロジェクトでハガキほどの大きさの心電計を作りますが、当時は机ほどの大きさでありこの間のテクノロジーの進歩に驚いておりました。彼らの中には将来医療機器を設計製作する人材も含まれています。先人がそうであったように、その時代の様々な先進技術をうまく取り込んでいってもらいたいものです。