前橋工科大学 研究・産学連携推進本部
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研究分野

歴史的建造物の材料分析

建設材料化学研究室
担当教員:佐川 孝広

歴史的建造物の材料分析を行うことで,その構成材料や硬化メカニズム,耐久性能などの評価が可能である。本研究室では,建設後52年経過した鉄筋コンクリート造建物の長期耐久性調査や,明治初期に建造されたセメント不使用の石灰系材料(石灰コンクリート)の材料分析を行った。

主な研究成果

群馬県富岡市にある旧韮塚製糸場は,明治9 年に創立した民間の器械製糸場である。下地や煉瓦目地には砂漆喰(漆喰モルタル)が,排水溝の側壁板や繰糸所の土台と煉瓦床の境界には,セメント不使用の石灰コンクリートが使用されていた。そこで,出土した砂漆喰,石灰コンクリートの詳細な材料分析を行い,材料構成や硬化メカニズムについて検討した。その結果,砂漆喰は漆喰と細骨材で構成され,漆喰部の化学組成はほぼ炭酸カルシウム のみであった。石灰コンクリートの結合材部は結合水を有し,ポゾラン反応によるC-S-H やアルミネート系水和物の存在が示唆され,火山灰と消石灰による硬化と推察された。このような知見は,セメント系材料の長期的な化学的挙動を考える際の基礎的データとなったり,当時の地域の歴史や産業を理解する上でも重要であり,文化財の歴史的価値を高めることにも繋がると考えられる。

文献
佐川ほか,高炉セメントC種を用い52年経過した構造物の長期耐久性に関する研究,コンクリート工学論文集,2017
佐川,片野,南田,旧韮塚製糸場から出土した明治初期石灰コンクリートの材料分析,セメント・コンクリート論文集,2023

どのような産学官連携ができるか

歴史的建造物の所有者である企業や自治体との産学連携が可能です。

SDGs該当番号

9.産業と技術革新の基盤をつくろう 11.住み続けられるまちづくりを

その他