本学研究担当者
生命工学領域 准教授 小田垣雅人
研究成果
公立大学法人前橋工科大学、国立大学法人群馬大学、学校法人群馬パース大学、群馬県立産業技術センターの研究グループは、群馬県の繊維技術を活用した介護技能評価システムを開発しました。従来、介護動作の評価には三次元モーションキャプチャや加速度センサなどの運動計測システムが用いられていましたが、いずれのシステムも高価で、広い計測スペースが必要であるため、実際の介護の現場で利用されることはありませんでした。
本研究グループでは、介護における身体的負担を軽減するためには、実用的に介護技能を評価するシステムが必要であると考え、導電性の繊維を用いた静電容量型の体圧・近接センサを用い、安価で簡便に利用できる介護技能評価システムを開発しました。作業療法士/理学療法士の介護熟練者群と介護未経験者群による介護動作実験を実施し、本システムの出力データを解析した結果、両群間において介護技能の違いが認められ、本研究成果をIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が発行する論文誌「IEEE Journal of Translational Engineering in Health and Medicine」(Impact Factor = 3.4)に投稿し、掲載に至りました。
"オールぐんま"で医工連携に挑戦
本研究プロジェクトは、前橋工科大学、群馬大学、群馬パース大学、群馬県立産業技術センターの工学、化学、作業療法学を専門とするメンバーで構成された「オールぐんま」による「医工連携」研究の成果です。本研究では、群馬県の地場産業である繊維関連技術を活用し、有限会社川島エンブ(群馬県みどり市)が有する刺しゅう加工技術により導電性繊維を織り込んだセンサシートを作製しました。本センサは洗濯可能で衛生面に配慮した構造であり、車いすの座面などに設置することで被介護者の体圧や着座速度などを簡単に計測することができます。本システムの実用化によって、介護における身体的負担を軽減することが期待されます。システム販売価格は一式10万円程度を想定しており、3年以内の実用化を目指します。
企業版ふるさと納税で寄付された研究資金の活用
本研究の推進をより一層加速させるため、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を利用した県内企業7社からご支援を頂きました。本プロジェクトに賛同して頂き、ご協力頂いた企業は以下の通りです。
企業名(本社所在地)= 寄附受付順・敬称略
株式会社サイテックス(群馬県太田市)
株式会社土屋合成(群馬県富岡市)
スバル工業株式会社(群馬県館林市)
株式会社タイヨー(群馬県みどり市)
有限会社石川鉄工所(群馬県太田市)
有限会社永井製作所(群馬県邑楽町)
他,1社企業名非公開
[論文情報]
論文名:Development of an Evaluation System for Transfer Care Skills Using Embroidered Body Pressure and Proximity Sensor
著者名:Hirofumi Kurosaki,Hiromu Shirahata,Junya Kawahara,Yasuhito Kondo,Ken Kondo,Bumsuk Lee,Masato Odagaki
掲載雑誌:IEEE Journal of Translational Engineering in Health and Medicine
筆頭著者:黒﨑紘史氏(前橋工科大学大学院博士後期課程,群馬県立産業技術センター 群馬産業技術センター独立研究員)
責任著者:小田垣 雅人准教授(前橋工科大学生命工学領域)
DOI : 10.1109/JTEHM.2023.3294062
本件に関する問い合わせ先
・研究全般に関すること
前橋工科大学工学部生命工学領域 准教授 小田垣雅人
Email : odagaki@ieee.org
・刺しゅう技術を用いたセンサ加工に関すること
有限会社川島エンブ 代表取締役 川島英治・取締役 藤田欽一
Email : fujita@kawashima-emb.co.jp
・企業版ふるさと納税による前橋工科大学への寄付に関すること
前橋工科大学事務局 学務課 027-265-7361