空間造形基礎
一人ひとりの学生の中に、芸術家が潜んでいます。自分の中の芸術家に気づき、目覚めさせることが、本科目の目的です。そのために教員側から、「光」、「包む」、「塔」など、何かしらキータームをもったお題を出します。そして学生は1週間かけて、ドローイングなり、モデルを制作し持参します。そしてみんなで互いの作品を鑑賞します。自分に思いつかなかった発想、自分と似た考えの友達を発見し、そして他者の作品を見て、自分に気づくために鑑賞の時間は大切です。教員、TAは成果物を見て、その場で評価を与え、その場で講評します。そしてその練習を繰り返します。半期で10課題程度をこなすことで、発想力、構想力、気づく力を鍛えるのです。ものをつくることは楽しいことです。例外なくものづくりに励む人の目は輝いています。それは心身の健康につながることでもあります。
構造力学基礎
構造力学基礎は構造力学の基礎的なことを学べるのだろう。そういうイメージが沸いても、「構造」と「力学」の言葉が並んでいるため、構造力学を知らなければ何を学ぶのだろうと思うはずです。皆様にとって「力学」は何らかの知識を持っていても、「構造とは?」と戸惑うかもしれません。ここで扱う構造は、主として建物・橋梁などの構造物に関しての話です。巨大地震を受けても構造物は壊れないようにすること、100年以上経過しても構造物が性能を低下させないことなど。これらの構造物を実現させていくためには構造力学の知識が必要なのです。
本科目は、構造物の設計に必要な構造力学の基礎について話し、力のつりあいという自然原理に支配されることを理解させ、力のつりあい条件、静定ラーメンの解法、静定トラスの解法について教授しています。これらを学んだ学生は構造物の設計ができる能力を身につけることができます。
環境の科学
私たちを取り巻く環境は、建物の室内と屋外、都市、そして、河川や海、山などの自然、最終的には地球全体に至るまで様々なスケールで取り扱われ、熱・空気・光・音・水(流体)といった環境要素で構成されています。また、近年では、CO₂排出と地球温暖化、廃棄物処理、再生可能エネルギーの利用など、様々な環境問題が山積しています。本科目では、熱の移動や流体力学の基礎、光や音の性質といった各環境要素の物理現象について学ぶほか、地球環境、建設産業、水質環境など、身の回りの環境問題をとりあげて解説し、2年次以降に主に建築都市プログラムや土木環境プログラムで開講される環境関連の専門科目に向けて基礎知識を修得します。
図学デザイン
毎年ナイル川は氾濫し、それが肥えた土をもたらしました。エジプトの民はその運命を受け入れつつ、毎年、測量を余儀なくされるなかで、幾何学の知恵が蓄積されていきました。彼岸のラチオは、ルネサンス期を経て、此岸に降りてきましたが、パソコンが普及した現代においても、理にかなった形の世界と、その根拠を知ることは、工学的技術の学びを始める上で大切なことです。私たちを取り巻く環境―身近な生活用品からインテリア、建物、都市、インフラストラクチャまで―は、すべて内的必然性をもって企図(デザイン)された形で構成されています。生み出された形には工学に基づくルール(図法)があるのです。本科目は講述と様々な演習を組込みつつ、ものをつくる喜びを体験し、様々な形が生まれる基本的図法を学修します。
循環システム工学
大量生産・大量消費・大量廃棄の一方向の経済活動から、持続可能なかたちで資源を利用する循環経済への移行が世界の潮流となっています。そして、持続可能な循環経済は、環境と社会の安定の上に成り立っているといえます。本講義では、人間社会と環境の相互関係を様々な手法を用いて認識・理解し、地域循環圏の構築や循環経済への移行の必要性、および地域の環境問題などに対して持続可能な解決策を提案するための方法について考えます。加えて、地域の固有性や多様性などを概観し、循環システムの構築や環境負荷低減に対して最適解を見出すための工学的手法について解説します。
プロダクトデザイン基礎
私たちはあらゆるモノ、製品(プロダクト)に囲まれ、それらを利用しながら生活しています。そのようなプロダクトの一つ一つは、人々の暮らしをより良くしたい、社会に貢献したいとの思いから開発されたものです。「プロダクトデザイン基礎」では、製品の提案を通して人々の生活や社会の課題を解決し、新たな価値を創出するための「プロダクトデザイン」の基本概念を理解することを目指します。プロダクトデザインの代表的な具体事例を学んだ後、各自で具体的なデザインコンセプトを創案し、調査〜構想〜具現化の一連のデザイン作業を通して、その創造的な思考方法と基礎手法を経験します。現代の製品開発に欠かせないツール、3D-CAD の基本概念やデジタルファブリケーションについての理解も深めます。
情報メディアデザイン
一昔前までは、コンピュータでプログラミングすることは「プログラマー」という専門の技術者が行うことでした。しかし現在ではプログラミングを行うための敷居が下がり、誰でもすぐにプログラミングができる環境が整ってきました。プログラミングを用いてデザインや表現をしていく能力は、情報メディアデザインの分野だけでなく、空間デザイン、プロダクトデザイン、環境デザインなど様々な専門領域でとても強力で重要な技能となってきました。これからもその重要性は増していくでしょう。この講義ではプログラミングを活用して図形を描いたりアニメーションを作成するという基礎から始め、画像や映像の活用、音響や音楽の解析や生成、アルゴリズムを用いた生成的な形態のデザインなど、情報メディアを用いた様々な表現を実際に手元でプログラムを動かしながら学んでいきます。そして、何よりも大切なことは「プログラミングは楽しい」という体験をすることです。
水・環境実験
3年生後期に開講する水・環境実験では、実験の組立てからレポート作成までの流れを理解し、実行できることを目的に、水質工学実験、水理学実験、河川・水文実験の3つの実験を行っています。水質工学実験では水質工学の基礎となる水質分析に関する実験、水理学実験では流れを実体験して理論との整合を確認、および河川・水文実験では流水のエネルギーなどについて実験結果と理論の比較検討を行います。3種類の実験について、それぞれレポートにまとめます。
地盤工学Ⅰ
社会基盤施設を支えているその土台は地盤です。また、砂や粘土が盛土の材料としてつかわれています。したがって、当分野の技術者として活躍するために、地盤とそれを構成する土に関する知識が必要不可欠です。本講義では土の分類法や力学的性質を学びます。土は、土粒子・水・空気で構成されています。たいへん複雑で面白い挙動をすることがわかっています。履修する人には動画を配信しますのでそれをみて予習をしてきてください。そして、講義時間中に行う演習で理解を深めましょう。
測量実習Ⅱ
土地の売買や建物を建てたり、道を作ったり。そのためには正確な土地の位置や面積、形状などを測る必要があり、その作業の事を測量と言います。本プログラムで測量の授業や実習を学ぶことにより、卒業時には測量士補の資格を取得することができます。この授業では今まで学んできた測量の知識と技術をもとに、道を作るために必要な技術である路線測量と、大学の近くにある古墳の等高線図を描く地形測量、そして、自分たちで好きなテーマを見つけてオリジナルの地図を作成するGISについて学びます。
建築設計Ⅰ
製図室に一人一台自分の製図台が用意されており、同学年の仲間とともに、課題に対しての自分のオリジナルの提案を「エスキース(教員との対話)」や「中間発表(優秀な作品の途中経過の公開講評)」を通して3〜5週かけて練り上げていきます。最終提出物は、案そのものの機能性、合理性、新しさや美しさ、快適性、楽しそうな雰囲気、だけではなく、プレゼンテーションとしての図面と模型の正確さやわかりやすさ、格好良さ、などの表現の工夫、さらに上位学年になるに従い、構造や設備、技術面、「建築」分野としての社会性、まちの中での存在意義、など高度に総合的に問われていきます。
建築構造実験
力学的に安全な建築物を作るために建築都市プログラムでは建築構造学を教えています。この講義では建物の安全性を、実際に体験することにより理解します。実際の鉄筋コンクリート梁に加力し、その破壊過程を観察したり、生コンクリートの製作、鋼材の引張試験などを体験したりし、それらの性状を理解します。また、建物の揺れ方を理解するための実験やサスティナブルな社会実現のために建築物の維持管理手法も体験したりします。実際の建設現場も見学し、大学の座学で学んだ建築構造への理解を実体験により深めます。
建築環境実験
熱、音、空気、光といった建物内の環境要素を計測する測定器具を用いて、主に教室などの室内環境の計測を行います。目には見えない環境要素を数値として可視化することで室内の快適性などを評価します。測定器具の扱い方から計測したデータのグラフ化や分析方法について学ぶほか、安全性や快適性に関する基準値との比較から実験した室内環境を評価して、レポートにまとめます。また、実験結果を発表するプレゼンテーションの方法についても修得します。
工学デザイン実習Ⅳ
工学デザイン実習Ⅳは、空間デザイン系の実習Ⅳ a、プロダクトデザイン系の実習Ⅳ b、情報メディアデザイン系の実習Ⅳ c の3系統からなります。それぞれの分野で、実践性の高いデザインスキルを学ぶとともに、3分野を横断する視点持ち、これからの社会を牽引するデザインのあり方を包括的に思考する力を養います。問題意識とデザインの可能性を自ら掘り起こし、そこから得たアウトプットを社会に広く伝えることを目指します。
プロダクトCAD
現代のプロダクトデザインにおける3D-CAD は、デザイナーがアイディアを構想し形を表現するプロセスだけでなく、設計者や製造現場への形状情報の出力と実現性検討にも必須のツールです。プロダクトデザインに求められる3D-CAD の基礎概念、2次元、3次元ラインの制作、自由で複雑な3次元造形の制作、3D データを使用したレンダリング画像の制作、3Dプリンタを使用したプロトタイプの製作など、自由に表現する能力を養います。
サウンドプログラミング
「サウンドプログラミング」では、プログラミングによる音響や音楽の表現を行っています。プログラミングを用いた音による表現は、視覚的な表現とも劣らず長い歴史の中で様々な試みが行われてきています。現在では、コンピュータの処理能力の発達によってノートPC1台でもリアルタイムに音楽をプログラミングすることが可能です。この授業では、プログラミングをしながらその場で音響を生成する「ライブコーディング」という手法を用いて、プログラミングによるサウンドの表現を学びパフォーマンスの発表を行っています。
研究室
将来について
取得可能な資格
卒業後の主な進路
- 進学(大学院進学博士前期課程)
- 国家公務員
- 地方公務員(土木職)
- 建設コンサルタント
- 建設会社の設計部門と施工部門
- 鉄道
- 設計事務所
- 住宅メーカー
- 建築設備関連企業
- プロダクトデザイナー
- インテリアの設計部門と施工部門
- 情報メディア関連企業
- エンジニアリング・デザイナー ほか